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第2章 プラクティスとテスト

2.1 九つのプラクティス

プラクティスとは、経験に基づいて実効性が示された『実践項目』のことです。アルコール駆動開発でのプラクティスは、アルコールの効果を発揮することよりも、アルコール依存症に陥ることを防ぐことを主眼にしています。

1. 最小限の摂取

アルコールは、最小限の摂取に止めておかなくてはいけません。摂取量の上限は、純アルコールに換算して15mlです[1]

アルコール駆動開発を進めていくと、体に耐性が付き、微量のアルコールでは効果が得られなくなるかもしれません。それでも、量を増やしてはいけません。量を増やしたいという欲求は、依存から来ていることを認識しなくてはならないのです。

  • [1]純アルコール換算の体積は、「アルコール飲料の体積×アルコール度数÷100」で求められる。

2. 昼食後の摂取

アルコールは、昼食後に摂取すべきです。アルコールの摂取による効果は、2時間ほどしか持続しません。効果が切れた後は、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドにより、頭が重く感じるなど、作業効率が低下します。作業効率が最も高い夕方前に摂取するのが良いでしょう。午前中から飲みたくなるのは、依存の兆候です。

3. 一日一度の摂取

アルコール摂取から2時間ほどすると、アルコールが分解されアセトアルデヒドになり、頭が重くなります。ここで、もう一度アルコールを摂取しようと考えるのは誤りです。アセトアルデヒドが支配的な状況でアルコールを摂取しても、創造性の向上が期待できないことが、経験から明らかになっています。また、一日に何度もアルコールを摂取したいという欲求は、依存から来るもので、注意が必要です。

なお、ここで言う一日というのは、職場での時間はもちろん、プライベートも含めての一日を指します。仕事帰りの飲酒や晩酌なども禁止です。

4. 楽しく飲む

アルコール依存症は恐れるべき疾患ですが、しかし、ここに挙げたプラクティスを実践していれば、依存症に陥ることはありません。恐怖はストレスを生み、ストレスは創造性の発現を妨げます。自分はプラクティスを実践しているんだという自信と安心感を持って、楽しくアルコールを摂取しましょう。

5. 美味しく飲む

幸いなことに、筆者には苦手なお酒というものが無いのですが、人によっては、甘いお酒が苦手だったり、その逆だったりします。苦手なお酒を無理に飲む必要は全くなく、むしろ避けるべきです。嫌いという感情はストレスの原因となり、創造性を低下させるからです。

6. さりげなく飲む

職場での飲酒は、例え職務規程に書かれていなくても、暗黙のルールによって禁じられていることがほとんどです。無用なトラブルを避けるためにも、一見してお酒とわからないように飲む工夫が必要になります。

7. 毎日の適用性テスト

アルコールが実際に効力を発揮しているか、アルコールを摂取したら、必ず適用性テスト(脳活性テスト)を実施します。発揚期の段階か、酩酊期に入っていないかを確認する重要なテストでもあります。脳活性テストについては次節で解説します

8. 毎週末の依存性テスト

プラクティスを守っていれば、アルコール依存症に陥る心配はありません。しかし、それでも、毎週末にはアルコール駆動開発を止め、依存性テスト(アルコール依存症テスト)を行います。依存症テストについては、第3節で紹介します

9. PMの監査

適用性テストや依存性テストは、プロジェクトマネージャの監査を受けるのが望ましいでしょう。なぜならば、依存症に陥ると、身体欲求が理性に勝るため、テスト結果を無意識に改竄してしまうからです。また、逆に、プロジェクトマネージャから監査を申し出されたら、断ってはいけません。